初夏の夜、学生街の片隅で

Tony Dubshot "Omega Dub" 聴いた。
ここでダウンロードできる↓
http://split-notes.com/spnt002.php
この Split Notes というネットレーベルは曰く "Call us the microtonal-with-a-beat netlabel!" ということで、既存のポピュラー音楽、特にダンス系クラブ系の音楽に、12音平均律(などの、周波数比2:3を基礎とするユーラシアの音律群)から大幅に離れた音律を適用する音楽を創造し広めようとする集団だ。
その Split Notes からの2枚目のアルバムである本作はダブに5音平均律、7音平均律、9音平均律を適用したもの。
これを聴くと感じるのは、不自然さではなくむしろ自然さだ。
元々、アフリカにルーツを持つ人達がやり始めた、もしくはそれ以外の人たちがその影響を受けてやり始めた、音楽が、12音平均律で奏でられることの方が、不自然だったことに気づかされる十分な説得力を持つアルバムだ。

Split Notes が目指す音楽性(それは現在俺が目指す音楽性と7割ぐらい一致している)を日本語でジャンル名として何と呼んで良いのかわからないが、英語圏での呼び方の趨勢に鑑みると、「マイクロトーナル」とでも呼ぶのが無難なのではないかと今のところ俺は思っている。

俺はダブというジャンルについてほとんど予備知識がないのでこれ以上細かいことは言えない。ジャンルの特徴なのかアーティストの特徴なのか判別できないためだ。
俺の感想としては「自然だ」これに尽きる。
……ただ、マイクロトーナルのシンセでレゾナンスをここまで強調するのはあまり聴いたことがなかった気がするのでそこは新鮮かも。7音等間隔音階のように全ての音程の間隔が広い音階の場合、音程が細かく聴き取れなくても構わないから、音色で遊ぶことができるということだろうか。ペンタトニックのメロディーでウィスパーヴォイスを聴かせる相対性理論と同じように。